子供の頃にピクミンで遊んだ時、不思議なことがありました。
大人の私ならば、その謎を解明できるかもしれません。
ピクミンとは?
段取り力と采配力が試されるAIアクションゲーム。
プレイヤーは小さな生き物「ピクミン」達の指揮を取り、巨大な物を運んだり、巨大な生物と戦ったりする。(※作品の詳しい説明は記事の最後に記載します)
(以下、初代ピクミンの攻略およびステージのネタバレがあります。)

それは、ピクミンの1作目をプレイしていた時のことです。
ゲームの後半に「大水源」というステージがあります。
子供の私はその場所が怖くて怖くて仕方ありませんでした。
しかも、何故怖いのか、何が怖いのか全く分からないのです。
鮮やかな緑、白い砂浜、澄んだ水…
全体的に明るくて見晴らしが良いステージに、透明感のあるゆったりとしたBGMが流れており、むしろ癒されそうなステージです。
どこにも怖い要素はありません。
それでも、そのステージに降り立つと、体の中がぞわぞわして「ここに居たくない」と感じるのです。
人骨の散らばった血みどろのステージでもないというのに。
その不気味さと不思議さが、子供の頃からずっと心の隅に引っかかっていました。
ある時、この引っかかりをふと思い出し、
「大人の今なら理由が分かるかもしれない」と思い、考察してみることにしました。

結論から言うと、恐怖の元は「ステージのデザイン」でした。
専門的には「レベルデザイン」と言うそうです。
大水源は、全ステージで最も「プレイヤーに不利」な構成をしているのです。
ゲームの仕様として、プレイヤーおよびピクミンは小さくて弱い獲物、原生生物(敵)は大きくて強い捕食者です。
そのためプレイヤーは、ピクミンの数を増やしたり、戦いやすい場所を選んだり、工夫を凝らして巨大な敵と戦います。
戦いにおける「数の利」は、ピクミンを増やせば事足りますが、「地の利」はステージに大きく左右されます。
他のステージと比較すると、大水源の「地の利」がいかに薄いかが分かります。
※着陸地点とはゲームの開始場所で、ピクミンを増やしたり、アイテムを運び込む重要な拠点です。
| ステージ | 特徴 | 着陸地点 | 敵の配置と特徴 |
|---|---|---|---|
| 遭難地点 | 狭い | 周囲3方向が壁 | 閉じられた場所のみ 倒し方が特殊 |
| 希望の森 | 平坦 | 周囲2方向が壁 | ステージ全域 ピクミンが多ければ倒せる 着陸地点の付近の敵ほど弱い |
| 樹海の ヘソ |
高低差あり 暗い |
開けた高台にある | 着陸地点のやや遠方 倒し方が特殊 |
| 大水源 | 平坦 水場が多い |
開けた平野にある | ステージ全域 倒し方の異なる敵が密集 |
| 最後の試練 | 狭い | 周囲3方向が壁 | 閉じられた場所のみ ラスボスのみ |
要約すると大水源は、
1.敵が拠点まで攻めてくる上、安全地帯がほぼ無い
2.水場が多く、戦いにくい(青以外のピクミンは溺れる)
3.複数の敵を相手にした戦いが頻発する
という、非常に戦い辛いステージなのです。
想像してみてください。
隠れる場所のない平坦な孤島で、自分の何十倍もある巨大な生物、それも2匹以上を相手に素手で戦う所を。
もし味方が100人いたとしても、ちょっと「嫌だな」と思いませんか。
子供の私は、頭では理解できなくとも、本能的に「この地形はマズイ」「危険な場所だ」と感じ取り、言い表しようのない恐怖を覚えていたのだと思います。

以上が私の考察です。
子供の自分がピクミンからもらった宿題を、大人になってやっと提出できました。
思い出のゲームを考察するのは楽しいですね。
子供の頃の「すごくこわい」が、大人になって「ステージのデザインだけで恐怖を演出して凄い」という感想に変わったのも面白かったです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

※ピクミンについて
任天堂が開発・販売する2001年から続く長寿タイトル。
本編3作、外伝1作と作品は少なめだが、外伝以外全て後継機に移植されている。
直近だとWiiUのピクミン3が、NintendoSwitchに移植された。
全シリーズの大まかなあらすじは「ピクミンの惑星にやってきた主人公(プレイヤー)が、ピクミンの力を借りて物資を集め、故郷の星に帰る」というもの。
ジャンルはAIアクション。
プレイヤーはポインタに合わせてピクミンを投げ、投げられたピクミンは自らの判断で行動する。(敵がいたら戦う、物資があれば運ぶ、等)
1・2・3はストーリーに一貫性があり、システムもほぼ共通だが、ゲームの方向性や雰囲気、難易度がかなり異なる。
公式サイト
ピクミン(GameCube/Wii・WiiU)
ピクミン2(GameCube/Wii・WiiU)
ピクミン3(WiiU/NintendoSwitch)
おわり

